2014年11月25日火曜日

[SICP] 1.2.6 : expmodでbaseのexp乗をmで割った余りが求まる理由

baseのexp乗をmで割った余りを求める手続きexpmodは次のような定義になります.
(define (expmod base exp m)
  (cond ((= exp 0) 1)
        ((even? exp)
         (remainder (square (expmod base (/ exp 2) m))
                    m))
        (else
         (remainder (* base (expmod base (- exp 1) m))
                    m))))
法演算について馴染みがないと, なぜ, この手続で余りが求まるか分からないと思います. ここで簡単に計算の仕組みを説明します.
まず, 整数aをmで割った余りをr, 整数bをmで割った余りをtとします. すると整数aとbは次のように表現できます.
   a = qm + r
   b = sm + t
このaとbの和をmで割った余りを求めます.
   a + b = (qm + r) + (sm + t)
         = (q + s)m + (r + t)
(q + s)mはmで割り切れるので, a + bをmで割った余りはr+tをmで割った余りと等しくなります.
aにある整数cを掛けた値をmで割った余りも求めてます.
   ca = cqm + cr
caをmで割った余りはcrをmで割った余りと等しくなります.
続けて, aとbの積をmで割った余りを求めます.
   ab = (qm + r)(sm + t)
      = qsm^2 + (qt + rs)m + rt
abをmで割った余りはrtをmで割った余りと等しくなります.
積についての結果から, aのx乗をmで割った余りはrのx乗をmで割った余りと等しくなります.
ここで, 手続きの定義に戻り, baseのexp乗をmで割った余りを考えます.
1)expが偶数のときを考えます.
baseの(exp/2)乗をmで割った余りをrとします. 上で計算した結果から, rの2乗をmで割った余りは, baseのexp乗をmで割った余りと等しくなります.
2) expが奇数のときを考えます.
baseの(exp-1)乗をmで割った余りをrとします. 上で計算した結果から, base*rをmで割った余りは, baseのexp乗をmで割った余りと等しくなります.
これらの結果から, 手続きexpmodによりbaseのexp乗をmで割った余りを求められることが分かります.

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